「インスタ、何を投稿していいか分からない」「SNSを毎日やらなきゃと思うと疲れる」「ホームページがあっても売上につながらない」── 情報発信まわりの “なやみ” は、相談のなかで何度も繰り返し聞きます。私がそうした相談で必ず通すワークが、Who(フー)→ What(ワット)→ How(ハウ)の3つを言葉にする作業です。今日の記事は、その「やり方の手順」の話ではありません。 このワークを通すと、なにが変わるのか ──情報発信のなやみが、なぜそこで溶けはじめるのか。私が現場で見てきた範囲で、少しだけ語ります。
「インスタ、何を投稿していいか分からない」の正体
相談に来る方の多くが、入口でこう言います。
「SNSのコツを教えてほしいんです」
「ホームページの作り方を変えたいんです」
「広告を出したいんですけど何から始めれば」
私はだいたい、こう聞き返します。
「あなたのお店は、誰に向けて、何を約束しているお店ですか?」
たいてい、ここで答えが止まります。
これが、Whoと Whatが言葉になっていない状態。この状態で「インスタの投稿のコツ」を尋ねられても、私には答えられません。 どんな投稿が「いい投稿」かは、Whoと Whatが決まって初めて決まる からです。
なやみの正体は「投稿の作り方」ではなく、その手前にあります。
このワークが通ると、何が変わるのか
ここからが本題です。Who→What→Howのワークが通った後、相談者の方に起きていた変化を、私が観察してきた範囲で並べてみます。
自分の事業を、人に迷いなく説明できるようになる
商工会で・銀行で・飲み会で。「何の仕事してるの?」と聞かれる場面はたくさんあります。ワークが通っていない人は、ここで言葉に詰まる。「いやー、なんていうか、いろいろやってるんですけど……」となる。
ワークが通ると、迷いなく淀みなく、1〜2文で伝えられるようになります。
お客さんが、自然に “話しかけている相手” に近づいていく
Whoを言葉にすると、発信の言葉も自然とその人に向かいます。すると、 そういうお客さんが増える。同時に、収益にも関係性にもつながりにくかったお客さんは「ああ、私には関係ないな」と理解できて、そっと離れていく。
「来てくれるお客さんを断る」とは違います。 お客さんの方が自分から選んで近づいてきてくれる という変化が起きます。
SNSの精神的な負担が、ぐっと軽くなる
「毎日どうしよう……やらなきゃ……」と消耗するSNS。多くの方が抱えているしんどさです。
ワークが通ると、「今日はあの人に、あの約束の話をしよう」が即座に判断できる。 何を書くか迷う時間そのものが減る。SNSが「やらされ仕事」から「届ける作業」に変わる。
AIに頼んだときの、アウトプットの質が一段上がる
最近の相談でよく出る話です。ChatGPTやClaudeに「うちの会社のSNS投稿、考えて」と頼んでも、当たり障りのない文章しか返ってこない。
これは、AIの問題ではなく、 AIに渡しているコンテキスト の問題です。Who→What→Howが言葉になっていれば、それをそのままAIに渡せる。AIは「誰に・何を・どんな視点で」を理解した上で文章を生成する。出てくるものの精度が、文字通り別物になります。
「不」を捉えてWhoを書く、ということ
少しだけ、ワークの中身の話を。
Whoを書くときに、私が必ず伝えていることがあります。それは 「不」を捉えて書く ということです。
不都合・不安・不満・不利益・もっとこうだったらいいのに・もう少しこうだったらいいのに── これらは、お客さんが「解決したい」と思っている対象です。ここを踏まえないと、 そこにあるニーズを捉えるときにズレが起こりやすい んです。
たとえば同じ人を指していても、書き方でこう変わります。
A. もっと綺麗になりたいと思っている
>
B. 痩せないと振り向かれないと思っている
AもBも、結果として指している人は近いかもしれません。でも、 解決すべきポイントが具体的にイメージできるのはBの方 です。Bの言葉で書けると、「だから何を提供すれば届くのか」の仮説が立てやすくなる。
これが「不を捉えて書く」ということです。 同じことを言っていても、言葉の現れ方で次の打ち手が変わる。
Howは「視点・理由・考え方」── 技法やツールではない
もう1つだけ。Howを「やり方」と捉えると、このワークは止まります。
たとえば、こんなWho→What→Howを書く方がいます。
Who: 20代女性に
What: 当社の商品の良さを
How: SNSで
これで、次に何を実行できるでしょうか? ほぼ何も計画できていない。この文字面から連想できるアクションは、 「なんとなくインスタグラムを使う」 くらいです。
私の言うHowは、 「Whatを信じてもらうための視点・理由・考え方」 です。やり方やツールの話ではありません。ここを「具体的なサービス内容や技法」と捉えてしまうと、せっかく仮説立てしているWhoやWhatを どう伝えるのか・なぜそれが届くのか の行動計画にならない。
なぜそうなのか、Howをどう言語化するのか── ここは、書ききろうとすると教科書のような分量になります。実際に対話の中で一緒にやらないと立ち上がってこない部分でもあります。
「3つの柱」が頭に残るのは、偶然ではない
Howを言語化するとき、私は 1〜3つの柱 に絞ることを大事にしています。
これには根拠があります。 3という数字は記憶に残りやすい。4でも5でも、ちょっと多い。1つだけだと弱い。 3つの柱は、初頭近接効果なども相まって、ぐっと頭に残りやすい 構造を持っています。
お客さんに「うちは、こういう視点で取り組んでいます」と伝えるとき、3つの柱で語ると、聞いた人の頭にちゃんと残る。これは何度も対話の現場で確かめてきたことです。
「項目を埋める」ではなく「言葉が動く」ワーク
Who→What→Howは、ワークシートの項目を埋める作業ではありません。
埋めただけでは、何も変わらない。1人で書くと、自分の言いたいことを書いてしまう罠にハマる。 このワークが本当に効くのは、対話の中で、言葉を打ち返してもらいながら、ぴったりはまる表現が動き出した瞬間 です。
その瞬間が来ると、相談者の方の顔が変わるのが分かります。「あ、私が言いたかったのはこれだ」と。
そこから、SNSの投稿の言葉も、ホームページのトップの言葉も、AIに渡すプロンプトも、ぜんぶ「あの軸の延長」として自然に決まりはじめます。
「やってみたい」と思った方へ
この記事では、「Who→What→Howのワークを通すと何が変わるのか」を中心に書きました。
実際にやるとなると、もうひと段話したい論点がいくつかあります。
- 「不」をどう書き出すのか、その作法
- Whoの言葉が出てこないとき、何を素材にして引き出すのか
- Whatを30字以内に言い切るときの絞り方
- Howの3つの柱を「視点」に翻訳する手順
- 1人で書こうとして詰まる典型パターンと、対話で動かすときのコツ
このあたりは、対話セッションで一緒に動かさないと、文字だけではなかなか立ち上がってこない部分です。
「もう少し詳しく聞きたい」「自分の事業でやってみたい」と感じた方は、コモンズの相談セッションやセミナーで一緒に取り組めます。情報発信のなやみが本当に溶けるのは、 3つの言葉が頭の中でつながって、動き出した瞬間 からです。
※本記事は、私(コモンズ代表 ヨシオカ)が日々の相談・伴走支援・セミナーで一貫して伝えているマーケ戦略の考え方をまとめたものです。
※本記事の内容は情報提供を目的としています。
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