検索やAIの回答からお客様が来ている店舗・サロンの方へ。ドメインとサーバーの契約先を把握していないと、更新ひとつで集客がゼロに戻ります。名義の確認の仕方と、サイトを移すときの引っ越し期間の作り方を整理します。
「AIの検索結果に、うちが載っていました」という話
整体院やサロンのような、予約型の店舗サービスをやっている方と話していると、うれしそうにスマホの画面を見せてもらうことがあります。検索結果のいちばん上に出てくるAIの要約に、自分の店が紹介されていた、という話です。この要約は、Googleの検索結果でいえば「AIによる概要」(AI Overviews)と呼ばれているものです。以下では「AIの要約」と書きます。
「うちが載ってたんですよ。ラッキーですよね」
こういうときは、私も素直にうれしくなります。地域名と施術名を組み合わせて検索すると、自分の店がちゃんと出てきます。しかもAIの要約にまで拾われています。広告は出していません、SNSもほとんど動かしていません、それでも予約は入ってきます。10年近く同じホームページを動かしてきた方に、こういうことが起きます。
ただ、私はここで必ずもう一段、質問を足すようにしています。「なんで載ったんやと思います?」と。
たいてい、答えは返ってきません。載ったことは分かります。でも、なぜ載ったのかは説明できません。ここが、この記事でいちばん書きたいことの入り口です。
なぜAIに拾われるのか。ホームページで言い切っているから
答えは、わりとそっけないものです。その施術のことを、自分のホームページで言い切っているから。ほとんどそれだけです。
もう少し丁寧に言うと、二つの条件が重なっています。
- ホームページに、その内容がはっきり書いてある
- 同じことを言っている店が、その地域に少ない
「書いたら出る」わけではありません。書いている店が多ければ、その中に埋もれます。逆に、同じことを言っている店が少なければ、その少ない情報の中から拾われて紹介されます。だから「腰痛専門」のように領域を絞って掲げている店ほど、この現象が起きやすくなります。
私はよく、こういう言い方をします。
「ホームページに書いてなかったら、それってネット上には無い情報じゃないですか。無い情報は、誰にも紹介されへんのですよ」
ついでに言うと、AIの要約が出るかどうかはキーワード次第です。体感では、半分強くらいでしょうか。施術名と地域名を組み合わせて調べる人の裏側には、「その施術をやっている店、どこかにないかな」という気持ちがあります。だから店の紹介が出てきます。一方、施術名だけで調べた人は「それって何だろう」を知りたいだけなので、店の紹介にはなりません。同じ言葉でも、組み合わせ次第で返ってくるものが変わります。
もうひとつ、私の見立てでは、長く続けてきたことも効いています。ただし効いているのは年数そのものというより、その年数のあいだに積み上がったもののほうです。書いたページの量、更新されてきた履歴、よそから触れられた回数。10年近く動かしてきたサイトには、それが溜まっています。同じことを書いていても、昨日できたばかりのページと、何年も残って更新され続けてきたページでは、扱いが変わります。
ところが、その入口が「借り物」だったりします
ここまでは明るい話です。空気が変わるのは、契約の話が出たときです。
話を進めていくと、「そういえば今のホームページ、契約の無料期間が終わったら消えるって言われました」という話が出てくることがあります。残りは1年ほど、というくらいの猶予があることが多いです。ただ、期限のほうは確定しています。
こういう話が出ると、私の頭の中は切り替わります。
「それ、緊急事態ですよ。僕やったら、何をおいてもそこから手をつけます」
なぜかというと、消えるのは「ページ」ではないからです。10年かけて積み上がった評価のほうが消えます。今こうしてAIに拾われているのも、長く動かしてきたサイトだからです。あれだけ書いてきたのに、あれだけ払ってきたのに、その資産を引き継げないまま全部まっさらになります。かなりもったいない話です。
「じゃあ、その前に自分のところへ移しましょう」
そう言って次の一手に進もうとします。ところが、ここでたいてい手が止まります。
ドメインとサーバーは別の契約。片方だけでは動かせません
移すには、今の契約情報が要ります。私はまず、こう聞きます。
「ドメインって、どこの会社で買いました?」
たいてい返ってくるのは、「どこで登録したか、覚えていないんですよね」です。
こうなると、ドメインの管理会社の画面を開き、別のドメイン会社も開き、サーバー会社も開いて、行ったり来たりすることになります。IDが電話番号だったかメールアドレスだったかも思い出せません。そもそも自分のドメイン名を正確に言えないこともあります。残っているのは「登録したときに、忘れちゃいけないよって言われたのにな」という記憶だけ。多くの場合、その時間の中では突き止められません。
ここで押さえておきたいのは、ホームページが二つの別々の契約で成り立っているということです。
| 契約 | たとえるなら | 確認すること |
|---|---|---|
| ドメイン | 住所(サイトの名前そのもの) | どこで買ったか/誰が払っているか/管理画面に入れるか |
| サーバー | 土地(サイトの中身を置く場所) | どこの会社か/誰が払っているか/管理画面に入れるか |
そして、片方だけでは足りません。仮にサーバーの管理画面に入れたとしても、ドメインを新しいサイトのほうへ向ける作業には、ドメイン会社のIDとパスワードが要ります。逆にドメイン側だけ分かっても、中身の引っ越しはできません。結局、両方そろわないと動けないんです。
もうひとつ、支払っているのは誰か、という問題もあります。制作会社がまとめて契約してまとめて払っている場合、名義は自分ではありません。関係が良好なうちは何も起きませんが、契約が終われば、それは相手の持ち物として整理されます。
名義の話でいうと、見落とされやすいものがもう一つあります。地図や検索結果に出てくる店舗情報のページ、Googleビジネスプロフィールです。予約型の店舗サービスなら、地域名で検索されたときにいちばん目立つ場所です。ところがここも、制作会社や広告代理店が開設して、オーナー権限を持ったままになっていることがあります。ホームページの名義を確認するなら、この権限が誰にあるのかも同じ枠で見ておくと、あとで慌てずにすみます。
ちなみに、ここは作りの良し悪しとは別の話です。ホームページ自体はちゃんとできている、というケースはよくあります。問題は出来映えではなく、自分で動かせるかどうか。そこを分けて考えないと、話がこじれます。
集客 → 接客 → 回収 で見ると、詰まっているのは接客装置の所有権
ここで、私が相談でよく使う集客の全体図を当てはめてみます。
- 集客(知ってもらう): 検索・SNS・広告・紹介。存在を知ってもらう入り口
- 接客(その気になってもらう): ホームページ・プロフィールページ。「この人に頼んでいいか」を判断してもらう場所
- 回収(アクションを回収する): 予約フォーム・電話・LINE。行動に踏み切ってもらう仕組み
ホームページは、この真ん中の接客にあたります。集客装置ではありません。検索やAIから人を連れてくるのが集客の役割で、連れてきた人に「ここでよさそうだ」と思ってもらうのが接客の役割です。
そう見ると、AIに拾われている状態は、集客が成立しているということです。詰まっているのはその先でも手前でもなく、接客の装置そのものを自分で持てていない、というところです。
集客を増やす話のはずが、実は接客の装置が自分の持ち物ではありません。順序が逆転しています。だから私は、この状態で新しい施策を足すことをあまりすすめません。足すより先に、名義を確定させるほうが優先です。
サイトを移すなら、まず「ドメインを残せるか」で話が変わります
移すと決めたあとにも、順番があります。そして最初に確かめるのは、ドメインを自分の名義で残せるかどうかです。ここで、話は二手に分かれます。
一つは、ドメインを自分の名義に取り戻せる場合です。このときは、サーバーを移しても、中身を丸ごと作り直しても、ホームページの住所そのものは変わりません。検索エンジンから見た評価は、基本的にそのドメインについています。だから10年ぶんがゼロに戻る、という事態にはなりません。私が「まず名義を確定させましょう」と言うのは、ここが理由です。名義さえ押さえておけば、中身はあとからいくらでも作り直せます。
もう一つは、ドメインごと変わってしまう場合です。制作会社の名義のまま取り戻せない、契約の形の都合でどうしても新しい住所になる、といったケースです。いわゆる引っ越しの作業が必要になるのは、こちらだけです。
引っ越しには並走する期間が要ります。要はサイトの引っ越しみたいなもんです、と私はよく言います。旧サイトから新サイトへ転送(リダイレクト)をかけて、こちらに来たらもう中身は見えず、そのまま新しいほうへポンと送られる、という状態をつくります。そうすると検索エンジンの側が「ああ、同じサイトが引っ越したのね」と認識してくれます。
ここで、期間の話を二つに分けておきます。検索エンジンが引っ越しを認識して、新しいほうを表示するようになるまでの目安が、だいたい1〜2ヶ月です。相談で見ている範囲でも、そのあたりで落ち着くことが多いです。ただしこれは、1〜2ヶ月経ったら転送を外していい、という意味ではありません。転送そのものは、そのあとも外さずに置いておきます。検索エンジン側が案内しているサイト移転の手順でも、転送は少なくとも1年は維持することが前提になっています。古いページのリンクをよそに貼っている人もいますし、ブックマークから来る人もいます。外した瞬間、その人たちは行き止まりに突き当たります。
この期間を作らないとどうなるか。旧サイトが積み上げてきた評価が引き継がれず、「新しいサイトができたわ」という扱いになります。10年ぶんが、ゼロからのスタートに戻ります。
期限から逆算すると、選べるルートは絞られます
期限が決まっているときは、そこから逆算します。
私が受ける場合でも、サイト1本には2ヶ月前後かかります。作業量でいうと30〜40時間くらいが目安です。ここに、ドメインが変わるなら、さきほどの引っ越し期間が乗ります。
すると、「まず自分がホームページの作り方を勉強して、それから作る」というルートは、期限に間に合うかどうかで判断することになります。勉強すること自体は悪くありません。ただ、本業の施術で1日が埋まっている方が、そこにフル回転で時間を割けるかというと、たいてい無理です。しかもこういう状態のときは、ホームページ以外の作業も止まっていることが多いです。帳簿が数ヶ月ぶん手つかず、というような話が並走して出てきます。一人でやれる量を、すでに超えているんです。
だから、足りないぶんだけ外に出す、という選び方もあります。以下の金額は、相談で見ている範囲での目安です。サービスや地域、年度によって変わります。
- オンラインアシスタントのサービス: 月10時間で3万円弱くらい(短期契約だと4万円台に上がることもあります)。時給換算で二千円台後半。サービスによって幅があります。ただし1本30〜40時間なので、月10時間だけだと3〜4ヶ月かかる計算になります
- 地域の支援機関: 年会費が1万円ちょっと、月にすれば千円くらい。専門家派遣のような制度があり、1回数時間・年に数回、無料枠が用意されていることもあります(内容は地域や年度によって違います)
- 帳簿まわりを専門家に頼む: 月に数万円、年で数十万円
外に出すときのコツも一つだけ。「これをやって、あれをやって、やり方はこれから考えます」と伝えている時間も、相手の稼働に乗ります。「やり方はこうです」「分かりました、やります」のほうが早く、ロスが少ないです。慣れてくると、最初1時間かかっていた指示出しが、2ヶ月目には20分になります。
ここで大事なのは、どれがベストかという話ではない、ということです。使える時間、かけられる費用、かけられる労力、勉強への積極性、いま手元にある資源。この組み合わせは事業者ごとに全部違います。だから正解はひとつに決まりません。あくまで、選択肢の並べ方として受け取ってください。
私自身が判断の軸にしているのは、「お客さんにとって最高の形はこれだから使おう」ではなく、まず自分たちにとっていちばんハードルの低いやり方はどれか、という見方です。やりすぎると、使いこなすことのほうにエネルギーがかかってしまいます。考えたことが実行されている状況を作ることです。そこに集中したほうが、結果として前に進みます。
これから確認するなら、この順番で
- ドメインとサーバーについて、契約先・支払っている人・ログイン情報を1枚に書き出します。地図や検索結果に出てくる店舗情報のページ(Googleビジネスプロフィール)のオーナー権限も、同じ枠で確認します
- 書けない欄があれば、そこが最優先の宿題です。ドメインの登録先は、あとで触れるWhois検索で調べられます。分かった契約先の窓口に問い合わせて、復旧手続きに着手します
- 今の契約の期限を確定させます(いつ切れるのか、自動更新なのか)
- ドメインを自分の名義で残せるかどうかを確認します。残せるなら、中身を作り直しても評価はそのドメインに残ります
- 期限から逆算して、新しいサイトの公開日を決めます。ドメインが変わる場合は、検索エンジンが引っ越しを認識するまでの1〜2ヶ月も見込んでおきます(転送そのものは、そのあとも外しません)
- 自分の手で回せる範囲を見積もり、足りないぶんだけ外に出します
- 入口が自分のものになってから、発信のテーマ設計に進みます
順番を入れ替えないことが大事です。特に最後の7番を先にやりたくなりますが、装置が自分のものになっていない状態で発信を積み上げても、積んだ先ごと消える可能性が残ります。
なお、テーマ設計まで進んだら、そこでも「決めてから回す」ほうがうまくいきます。テーマを3つ決めて、3ヶ月で30本出すなら、お知らせを10本、テーマに沿った発信を20本、というように配分を先に決めておきます。何を書こうか毎回考えるのではなく、決めたテーマに沿って機械的に出していきます。これは決めつけで構いません。決めつけて出してみて、何が効くのかを観測します。そのために作業しているのだと理解しているかどうかで、続き方がまるで変わります。
名義の確認は、今日の売上を1円も増やしません
最後に、業種を変えても当てはまる話として。
名義の確認は、とても地味な作業です。やっても今日の予約は増えません。売上も1円も増えません。だから後回しになります。実際、後回しにしていても、しばらくは何も起きません。
でも、これをやっていないと、積み上げてきたものが更新ひとつで消えます。しかも消えるときは、こちらの都合とは関係なく消えます。
だから私は、うまくいっているホームページほど、先に足元を確かめる価値があると思っています。人が来ていない入口なら、消えても失うものはそう多くありません。人が来ている入口だからこそ、それが誰の名義なのかを確かめておく意味があります。
まず、状況を1枚にすっきりさせます。これが分からないと、次の手が何も打てません。
よくある質問
Q. ドメインとサーバーの契約先が、どうしても思い出せません
ドメインについては、Whois(フーイズ)検索を使うのがいちばん確実です。ドメインの登録情報は公開されていて、誰でも調べられます。「.jp」なら JPRS(日本レジストリサービス)のWhois検索、「.com」や「.net」なら ICANN(アイキャン)の Lookup で、自分のドメイン名を入れるだけです。登録先の会社(レジストラ)名と有効期限が出てきますので、そこが分かれば、その会社の窓口に本人確認のうえで問い合わせられます。ただし、個人情報保護のための代理公開が設定されていると、登録者名が制作会社や代行サービスの名前で出てくることがあります。それはそれで、名義が誰にあるのかを知るための重要な手がかりです。
サーバーのほうは公開情報から一発では分かりません。クレジットカードや銀行口座の明細をさかのぼるのが早いことが多いです。年に一度、あるいは毎月、少額の引き落としがあるはずです。次に古いメールの検索。「更新」「請求」といった言葉で探すと、契約時の控えが残っていることがあります。それでも分からなければ、心当たりのある会社の窓口に、本人確認のうえでアカウントを特定してもらえないか相談する流れになります。
Q. 制作会社に任せています。名義を確認するのは失礼になりませんか
失礼にはあたらないと考えています。名義や支払いの確認は、疑うためではなく、自分の事業の資産を把握するための作業だからです。「更新の管理をこちらでも把握しておきたいので、契約先と期限を教えてください」という聞き方であれば、多くの場合は普通に答えてもらえます。地図に出てくる店舗情報のページのオーナー権限についても、同じ聞き方で確認できます。
Q. サイトを作り直すと、検索順位はどうなりますか
ドメインが変わるかどうかで、話が変わります。ドメインを自分の名義で維持したまま中身を作り直すなら、評価は基本的にそのドメインに残ります。ドメインごと変わる場合は、旧サイトから新サイトへ転送(リダイレクト)をかけて、同じサイトが引っ越したと認識してもらう作業が必要です。検索エンジンが認識するまでの目安は1〜2ヶ月ですが、転送はそこで外さず、そのまま維持します。検索エンジン側が案内しているサイト移転の手順でも、少なくとも1年は維持することが前提になっています。ただし、いずれの場合も順位がそのまま保たれることを保証するものではありません。
Q. AIの検索結果に載るには、何をすればいいですか
特別な裏技があるわけではありません。自分がやっていることを、ホームページの中ではっきり言い切ることです。自分のホームページに書いていなければ、少なくとも自分の言葉としては存在しないことになります。ポータルサイトや口コミ、SNS、地図の店舗情報から拾われることもありますが、そちらは自分で書き換えられる範囲が限られます。そのうえで、同じことを言っている店が少ない領域ほど、拾われやすくなります。なお、AIの要約が出るかどうかはキーワードによって変わり、常に出るわけではありません。
当然ただ書けばいいというものではなく、自分独自の情報を専門家の立場として書くということが重要です。他のホームページのコピーペーストや、AIで作成したような文章をそのまま貼り付けるだけだと、AIの方から見て重要な情報とは映らない可能性が高いのでご注意ください。
Q. 自分で作れるようになってから移行したいのですが
期限があるなら、そこから逆算して判断することをおすすめします。私が受ける場合でも2ヶ月前後、作業量で30〜40時間が目安です。ドメインが変わるなら、そこに引っ越し期間が乗ります。勉強しながら作るルートを選ぶなら、期限に間に合う計画になっているかを先に確かめてください。間に合わないようなら、まず移すことを優先し、その後で少しずつ自分で触れる範囲を広げていく、という順番もあります。
※本記事は実際の相談現場で出会う「よくあるパターン」をもとに構成したフィクションです。
登場人物・店舗・地域・数字などの具体設定はすべて創作であり、特定の個人・事業者を指すものではありません。
なお、本文中の期間・費用・割合の目安は、事例設定とは別に、相談の現場で繰り返し見ている実感値として書いています。金額や期間は、サービス・地域・年度によって変わります。
本記事は、中小企業・個人事業の経営相談を行うコモンズが、実際の相談現場での知見をもとに構成・提供しています。記載の内容は一般的な考え方の整理であり、特定の成果を保証するものではありません。契約内容や移行の進め方は事業ごとの状況によって異なります。実際の手続きにあたっては、契約先の規約や案内をご確認のうえ、ご自身の状況に合わせてご判断ください。









